ハマゴウの花

 「ハマゴウ」という名前は「浜を這う」という意味だった。葉を風呂に入れるといい香りがする。平安時代の『延喜式』、『本草和名』では蔓荊子(はまはふ)、波万波比(はまはひ)などと呼ばれ、茎が砂の上を這うので「浜這い」。その後、実、葉、樹が精油分を含み、芳香があることがわかり、香や線香が作られた。浜辺の香りの植物で、ハマゴウ。

 ハマゴウは海岸に生育する常緑の低木。本州・四国・九州からアジア東南部から南大西洋、オーストラリアにも分布している。葉の裏面には灰白色の毛が密生していて、白い。夏に画像のような美しい青紫の唇形の花を咲かせる。ハマゴウは砂浜の普通の植物で、海水浴の想い出と重なっていた。湾岸地域のハマゴウは野生のものではなく、植えられたもの。

 ところで、画像のハマゴウの葉は健康には思えないフシダニによってハマゴウハフクレフシという虫えいができている。それで思い出すのが、直江津中学校科学部の研究「ハマゴウ虫えい(虫こぶ)に生息する動物生態研究」。直江津中学校では、国立研究開発法人科学技術振興機構JST)の補助事業を受けて新潟県海浜に見られるハマゴウにフシダニが寄生すると葉に大小の瘤ができることから、この植物とダニの関係を研究テーマにしてきた。2011年には日本学生科学賞新潟県大会で最優秀賞、全国大会で入選1等受賞している。また、2017年8月8、9日、新潟県直江津中学校の生徒3名を対象にフシダニ(サビダニ)の研修が法政大学小金井キャンパスで開かれたという記事も見つかった。フシダニに関する講義後、持参したダニのサンプルを低真空型電子顕微鏡や高倍率実体顕微鏡で観察。2日目は、フシダニの標本作製について実習したとのこと。

*画像にはクマバチ(熊蜂)が見える。体が大きく、羽音が強烈だが、性質は温厚。ひたすら花を求めて飛び回り、人間にはほとんど関心を示さない。しかも、オスには針が無く、毒針を持つのはメスのみだが、毒は弱く、刺されても重症になることは少ない。体長に対して小さいのが羽根で、どうして飛べるのかがよくわからなかった。空気に粘性があるから飛べるのだということがやっと分かった。これは人が手足を動かすと、水中で浮くことができるのと同じ仕組み。水も空気も粘性があるから浮くという訳である。そのため、小さな羽根で長時間ホバーリングしながら、花の蜜を吸い上げることができる。