ハマゴウの花と実

 「ハマゴウ」という名前は「浜を這う」という意味で、平安時代の『延喜式』、『本草和名』では蔓荊子(はまはふ)、波万波比(はまはひ)などと呼ばれ、その後、実、葉、樹が精油分を含み、芳香があることがわかり、香や線香が作られ、浜辺の香りの植物で、ハマゴウ(浜香)。その開花時期は7~9月で、枝先から伸びた円錐状の花序には、唇型をした青紫色の花が数輪ずつ集まって咲く。秋に熟す果実はアズキくらいの大きさで、他の部位よりも強い芳香がある。種子は蔓荊子(まんけいし)と呼ばれ、煎じて飲むと、強壮、鎮痛に薬効がある。

 ハマゴウは海岸に生育する常緑の海浜植物。北の海浜植物の代表がハマナスで、南を代表するのがハマゴウ。葉の裏面には灰白色の毛が密生していて、白い。夏に画像のような美しい青紫の唇形の花を咲かせるが、湾岸地域のハマゴウは植えられたもの。

*画像のハマゴウの葉にはフシダニによってハマゴウハフクレフシという虫えいができている。直江津中学校では、国立研究開発法人科学技術振興機構JST)の補助事業を受けて新潟県海浜に見られるハマゴウにフシダニが寄生すると葉に大小の瘤ができることから、この植物とダニの関係を研究テーマにしてきた。2011年には日本学生科学賞新潟県大会で最優秀賞、全国大会で入選1等受賞している。