ハマゴウ:色の調和と観察研究

 ハマゴウの見事な江戸紫の霞んだ色と、同じように霞んだ緑の調和は私の好きな色合いで、しっとりした今の季節にしっくり合う。とはいえ、草のように見える木は天に向かう風はなく、地を這うようで何ともだらしがない。色合いは良くても、形態はいただけないというのが私の感想なのだが、砂浜がほぼなくなった湾岸地域でも海の近くにその姿をよく見る。名前は「浜を這う」という意味らしい。葉を風呂に入れるといい香りがする。日本だけでなく、アジア東南部から南太平洋、オーストラリアにも分布。葉の裏面には灰白色の毛が密生していて、白い。画像のような美しい青紫の唇形の花が咲き出した。

 ハマゴウの花が咲き出し、想い出したことがある。それは直江津中学校科学部のハマゴウの中えい(虫こぶ)についての研究で、以前に記したことがある。その観察研究の特徴は長年にわたる持続的な研究。2019年科学部は自然科学観察コンクールで最高賞にあたる文部科学大臣賞を受賞。研究テーマはハマゴウフシダニの生活史。類似の研究で同校は過去に幾つも賞をもらっている。このテーマに取り組んだのは9年前で、直江津海岸でハマゴウの葉に虫えい(虫こぶ)をみつけ(画像の葉に注目)、こぶの中に「ハマゴウフシダニ」の生息を確認し、調べ出した。そして、科学部はこの体長0.1ミリほどのフシダニの生活史について研究を受け継いできた。その結果、フシダニのメスを中心に脱水状態となって虫えいの中で越冬していること、春が近づくと虫えいの中で産卵することなどがわかった。これまでの観察から、メスの体内に2匹の幼虫を発見し、それが死んだ母体内で成長したこともわかっている。

 直江津の砂浜に自生するハマゴウが中学生の好奇心の対象となり、長年研究が持続され、多くの成果を挙げてきたことを聞くと、自然が謎だらけで、それら謎に刺激されて私たちが生きていることを痛感するのである。

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