イスノキの虫えい

 ハマゴウの葉にはフシダニによってハマゴウハフクレフシという虫えい(昆虫やダニの寄生によって、異常に増殖、あるいは肥大して奇形になったもの)ができ、直江津中学校の生徒たちがそれを研究したことを既に記したが、その虫えいができるので有名なのがイスノキ。

 イスノキのよく見る虫えいは三つある。葉表にできる虫こぶ(画像)はハマゴウの虫えいに似ている。イスノキの熟していない実にはツノが2本生えている(画像、そのツノの正体は大きな二つの雌しべの突起)。この実とは別に、枝にできる小さな丸い虫こぶと、やや大きめのイチジクの果実型の虫こぶ(画像)がある。画像の大きな青い虫えいは次第に茶色に変わる。こうして、イスノキには複数の虫えいがあることになる。

 虫えいは、バクテリアやウイルスが作る腫瘍のような組織とは違って、非常に硬い木質化した外殻構造と寄生昆虫の食料となるための柔らかいカルス化した内部構造をもち、さらに、それらの組織に養分を送り込むために張り巡らされた維管束を含む複雑な構造体をもっている。これは正に共進化の一例である。