コムラサキはシソ科ムラサキシキブ属の落葉低木で、北海道及び青森を除く日本各地の山野だけでなく、中国や朝鮮半島にも分布する。同属のムラサキシキブとともに紫式部にちなんで名付けられた。ムラサキシキブは樹高が3ｍにもなり、いかにも木という感じだが、コムラサキは樹高が1.5m程度に収まり、いわゆる「下草」として、より広く親しまれてきた。そのためか、湾岸地域でもあちこちに植えられていて、コムラサキを誤ってムラサキシキブと呼ぶことも多い。
6月頃に画像のような黄色と薄紫色の花を咲かせ、秋には実が紫色になる。根元に近い方から順次開花し、先端に咲き向かい、淡紅紫色の花を10〜20個つける。オシベは4個、メシベは1個、ともに花冠の外に突き出る。それを追うように直径3㎜ほどの球形の実をつけていく。
コムラサキは「小紫」の名の通り、紫色の実をつけるが、その紫色は青みの勝った「江戸紫」。コムラサキは花より実の方が圧倒的に人気のある、いわゆる「花より団子」の植物の一つである。確かに、愛でるのは花ではなく、実であるのがコムラサキというのが相場だが、花を愛でるのも天邪鬼の醍醐味というものかも知れない。
＊最後の画像がコムラサキの実
