クサカゲロウとの遭遇

 アキグミの実を探していて、葉の裏側に見つけたのが画像のクサカゲロウでした。最初は白く光るだけで、正体不明でしたが、確かにそれはカゲロウでした。カゲロウは寿命がきわめて短い水生昆虫(カゲロウ目)ですが、陽炎現象を指す言葉でもあります。

 画像からヤマトクサカゲロウか、それともクロズヤマトクサカゲロウか、それを確実に識別することは私には不可能でした。実際、この2種は近縁で、しかも次のような理由から見た目での判別は困難でした。ヤマトクサカゲロウ(Chrysoperla nipponensis)とクロズヤマトクサカゲロウ(Chrysoperla nigrocapitata)の成虫は、外部形態(色、斑紋、翅の構造など)に明確な違いがほとんどありません。確実な識別の方法は幼虫の頭部で、クロズヤマトクサカゲロウの幼虫は頭部が大部分黒くなりますが、ヤマトクサカゲロウの幼虫にはそれがありません。でも、画像は幼虫ではありませんので、この違いは画像からはわかりません。成虫の識別は互いに腹部を葉などに打ち付けて出す「基質振動(求愛の歌)」のパターンの違いがありますが、これもできません。とはいえ、クサカゲロウであるのは確かです。

 さて、陽炎は春の晴れた日に地面の近くで見られる自然現象で、光が不規則に屈折して生じる「揺らぎ」を指しています。そこから、儚いものや短命を示す言葉として使われます。春の季語でもあります。一方、「蜻蛉」はトンボ目の昆虫で、上記のようにカゲロウ目を指す言葉としても用いられます。夏や秋の夕方に水辺で群れをなして飛ぶ姿が特徴的で、成虫は交尾や産卵を終えると数時間から数日という短い寿命を持ちます。そのはかない生涯から、「蜻蛉の命」は短命で儚いものの象徴とされています。