サザンカの花数についての疑問

 山茶花が 溢れるほどの 花をつけ

 山茶花は 葉隠すほどに 花溢れ

 

 サザンカの葉より多そうな花を見ると、つい「枯れ木も山の賑わい」という諺を思い出してしまいます。サザンカには失礼なのですが、今はあちこちで咲き誇っているサザンカのたくさんの花に食傷気味になっています。

 そこに浮かび上がったのが「なぜサザンカは晩秋から冬にこれほどの花をつけるのか」という平凡でも、基本中の基本の問いでした。「これほどの花は必要ないのではないか」という疑問でもありました。

 サザンカが一本の木にたくさん花を咲かせる理由は植物としての生存戦略と生理的な特徴が深く関わっていました。サザンカは8月頃から花芽をつくり始め、9月には既に完了しますが、枝の各節に多数の花芽をつけ、その結果、冬に一斉に多くの花が咲きます。さらに、多くの植物は花芽ができてもアブシジン酸(ABA)という休眠ホルモンによって開花が抑制されるのですが、サザンカはこのホルモンが少なく、冬の競争相手が少ない環境で、多くの花を咲かせることによって昆虫を引き寄せることができます。

 ツバキが大きな花を少数つけるのに対し、サザンカは小さい花を多数つけるという違いがあります。サザンカは花弁が一枚ずつ散り、軽くて作りやすい花をたくさん咲かせる方向に進化してきました。

*サザンカの主な園芸品種にはサザンカ群、カンツバキ群(サザンカとツバキの交雑)、ハルサザンカ群(サザンカとツバキの交雑種)があります。