大鷺と中鷺は秋に南方へ去る渡り鳥。小鷺は留鳥として冬も残る。鷺は浅瀬に入って立つ姿も、飛ぶ姿も優雅である。鷺はペリカン目サギ科に属する鳥の総称。
鷺に関する季語にはどのようなものがある?「鷺」単体での季語はなく、鷺の種類や状態によって表す季節が変わるのが特徴。季節別の鷺に関する季語の例を挙げてみよう。
(春の季語)鷺の巣、鷺苔、鷺芝、白鷺苔
(夏の季語)白鷺、青鷺、鷺草、連鷺草
(秋の季語)造り鷺
(冬の季語)冬鷺、残り鷺、鷺足
鷺の巣:鷺は3月下旬から高い木の上や藪の中に皿状の巣を作る。黒鷺は単独で巣を作るが、白鷺や小鷺は集まって巣を作る。それは「鷺山」と呼ばれている。
白鷺:白鷺には大鷺、中鷺、小鷺、そして、黒鷺の白色型も含まれている。繁殖期が夏のため、夏の季語とされているが、越冬するために飛来するものや一年中留まるものなども多く、1年を通して見られる。
青鷺:羽根の色が青灰色であるのが特徴の鷺。全長が1m近い大型の鷺で、本州では一年中見かける留鳥のため、江戸時代から俳句に詠まれてきた。川辺や湿地帯、そして、水田で見かける。
造り鷺:「造り鷺」とはイカの甲で鷺を模した形を作る贈答品。旧暦8月1日は八朔と呼ばれ、稲穂が出始める時期。「造り鷺」はこの八朔の祝に贈られた。
冬鷺:日本を越冬地とする鷺。有名なのは白い小鷺と灰色を帯びた青鷺だが、地域によっては白鷺や黒鷺なども含まれる。
さて、「白鷺の 不動の姿 冬の川(木原不二夫)」を見てみよう。夏の季語の白鷺と「冬の川」が一緒に詠まれている。「白鷺は夏」という伝統的な本意からすると、違和感がある。しかし、作者は冬の研ぎ澄まされた空気の中で、じっと佇む白鷺の姿を見つめ、その中に「冬」そのものを感じ取っている。俳句の三夏は5月6日の立夏から8月7日(立秋の前日)までの3か月で、「白鷺」は夏で、冬の川とは季節が合わない。このような場合の方便のように、「季節の取り合わせ」、つまり、別の季節や無季語と組み合わせることと説明されてきた。確かにどの季節にも矛盾しない白鷺は冬の川にもいて、それを詠んでもおかしくない。だが、鷺で季節を表現するのは厄介なのは確かである。
青鷺の 姿動かず 運河縁
鷺が飛び 運河の水面 揺れ光る
青鷺の 不安映すか 水面揺れ
青鷺が 思索する中 時過ぎる
冥界に 行きたくもあり 鷺を見る


