ダイサギの風景

 映画「君たちはどう生きるか」(監督脚本 宮崎駿 2023年 スタジオジブリ制作)では戦争中に母を亡くした少年眞人が田舎へ疎開し、人間の言葉を話すアオサギと出会う。アオサギに導かれ、生と死が交錯する世界で幻想的な冒険を体験する。アオサギは獲物を待つ知恵と忍耐の象徴になってきたが、映画のアオサギは少年を未知の世界へ導く「境界の案内人」として現実と幻想をつなぐ存在。独特の神秘性をもつアオサギを通じて少年の成長と「生きる意味」を探っている。

 この話がアオサギではなく、シロサギに変わると、その意味するものはすっかり変わってしまうだろう。ペリカンと比べれば、白も青も同じサギなのだが、人はそこにデフォルメされた意味の違いを読み込んでしまう。人の都合は恐ろしく、ハクチョウに似たシロサギに対し、アオサギゴイサギには暗く、邪悪なイメージが付き纏う。青鷺火(あおさぎび、あおさぎのひ)はサギの体が夜に青白く発光することで、五位の火(ごいのひ)または五位の光(ごいのひかり)と呼ばれてきた。

 

師走来て 孤独味わう 鷺一羽

河の鷺 寂しくもあり 夜迫る

何思う 運河見つめる 鷺がいる

 

鷺不動 運河静かで 時止まる

鷺に問う 何を見て何 思うかと

ダイサギが白き姿で 思索かな

 

*画像はすべて東雲運河ダイサギ