ピラカンサの真っ赤な実

 ピラカンサ(Pyracantha)、あるいはトキワサンザシはバラ科ピラカンサ属の常緑広葉中高木。春から初夏に、木全体にたくさんの白い小さな五弁花を咲かせ、秋から冬にかけて、赤や橙の小さな実を枝が撓むほど沢山つける。樹の姿が美しく、果実は鳥の好物となる。英名はFirethornで、刺があり、実が真赤に燃え立つように樹木全体を覆い尽くす様子を表現している。同じバラ科で同じ赤い実がなるナナカマドに似ている。

 トキワサンザシはヨーロッパ南部から西アジアが原産で、単に「ピラカンサ」というと本種のことが多いが、日本ではトキワサンザシ、タチバナモドキ、カンデマリの三種類をピラカンサと呼んでいる。タチバナモドキは柿色の実、カンデマリは平たい実をつける。

 私にはこれら三種類の区別が厄介で、いつも迷ってしまう。そこで、どれもピラカンサと呼び、名前の詮索は止めて、もっぱら真っ赤な実を見事につけた秋の姿を楽しむことにしている。