メドーセージの花とホシホウジャク

 日本ではサルビア・ガラニチカ(Salvia guaranitica)がメドーセージと呼ばれています。これは日本にサルビア・ガラニチカが輸入され始めた頃に流通業者が間違って名づけてしまったためと言われています。

 サルビア・ガラニチカはシソ科アキギリ属の多年生植物。南米原産で、寒さにも暑さにも強い。草丈は1.5m程度に達し、初夏から晩秋にかけて3~5cm程度の濃青色の唇形の花を咲かせます。花弁は濃い紫青色で、萼は黒色と美しいコントラストをもった姿をしています(画像)。

 ヒメヒオウギズイセンの緋色や緋色のサルビアに対して、メドーセージの紫青色は実に好対照で、いずれもそのはっきりした色は自然の中でとても映える色になっています。同じサルビアの仲間の中に緋色と紫青色の花が含まれているのは自然の極上の計らいなのかも知れません。

 ホシホウジャクは昼行性の蛾で、スズメガの仲間です。「ホウジャク(蜂雀)」は容姿が蜂に似ていることからつけられました。スズメガの成虫は三角形の翅をもち、これをすばやく羽ばたかせて、種類によっては時速50km以上の高速で移動します。また、ホバリングすることができ、その状態で樹液や花の蜜を吸引します。前後に羽ばたきながら空気の渦を作り出し、常に一定の揚力を得られるような羽ばたき方をして、ハチと同じように自在にホバリングできるようになっています。

 ホシホウジャクの成虫は全体にこげ茶色ですが、後翅のみ黄褐色で、飛んでいるとよく目立ちます。空中でホバリングをしながら吸蜜し、花にはとまりません。