ホシホウジャクの知覚像から

 昨日ホシホウジャクについて記しました。ホシホウジャクは昼行性の蛾で、スズメガの仲間です。「ホウジャク(蜂雀)」は容姿が蜂に似ていることからつけられました。スズメガの成虫は三角形の翅をもち、これをすばやく羽ばたかせて、種類によっては時速50km以上の高速で移動します。ホバリングすることができ、その状態で樹液や花の蜜を吸引します。実際、その見事なホバリングに惹きつけられてしまいます。前後に羽ばたきながら空気の渦を作り出し、常に一定の揚力を得られるような羽ばたき方をして、ハチと同じように自在にホバリングできます。

 ホシホウジャクのホバリングを私が見ようとしても、その視覚像はスマホで撮ったブレた画像と似ていて、ホバリングしている翅を正確に見ることができません。画像は順にタイワンホトトギス、アベリア、ペンタス、そしてフヨウに来たホシホウジャクです。私たちは最後のフヨウは静止画像と考えます。

 画像を見比べていると、高速で動く翅がブレてよく見えないように、低速で動くものも「低速で動いていること」が見えないことが何となく納得できてきます。フルムーンを撮った画像は静止画像だと誰もが認める筈ですが、被写体の月は地球の衛星として常に動いていて、私たちはその動きの一瞬を撮ったと考えていますが、一瞬の動き自体は見えません。こうして、さらに妄想を膨らませるなら、「刹那滅」、「前後裁断」、さらに、「因縁」、「輪廻転生」、「因果応報」、「諸行無常」といった語彙が知覚像に基づくのか、心象に基づくのか、あるいは概念や言語に基づくのか、わからなくなってきます。

ニュートンのリンゴの落下は知覚像にも心象にもなり、古典力学で計算可能な概念にもなります。