アヤメ再訪

 ディエテス・グランディフロラ(Dietes grandiflora)は原産国の南アフリカでは公共の庭園や商業施設の美化に使われ、道端などでよく見られるようです。既に私もアヤメ科のディエテス・ビコロル、常緑アヤメについて何度も記しました。色々調べていると、Dietes grandifloraはその名の通り、草丈は1.5mにもなり、また、大きな花が咲きます。

 アヤメは春から夏にかけて花をつけると思われていますが、ディエテスは冬でも開花します。ドイツアヤメジャーマンアイリス)も11月にも開花しますから、不思議ではありません。ディエテスは白色の花を上向きに咲かせ、外花被片と内花被片は平開し、外花被片の基部には黄色と茶色の模様が入ります。花弁状の雄しべは中央が薄紫色で、先端は2つに裂け、内側に折れます(画像)。

 ハナショウブ(花菖蒲)、アヤメ(菖蒲)、カキツバタ(杜若)の違いはよく話題になりますが、ドイツアヤメはレインボーフラワーとも呼ばれるように、色とりどりの花を咲かせ、アイリスの仲間では最も華やかであり、また非常に多くの品種があります。

 ヨーロッパに野生する自然交雑種ゲルマニカをもとにして、他の幾つかの原種も取り入れ、ドイツアヤメの交配育成が行われました。単色のものの他に、上の弁と下の弁で色が異なるものも多く、花の姿はドレスをまとったようで、香りもあります。草丈1mぐらいの高性種から10~20cmのミニタイプまで、大きさも様々です。

 ドイツアヤメ尾形光琳が描いたらどうなるでしょうか、私はつい想像してしまいます。さらに、ドイツアヤメ酒井抱一、あるいは琳派の画家が描いたらどうなるのか、私の妄想は続きます。「燕子花図(かきつばたず)」(根津美術館蔵)は群青、群緑、金の3色のみでカキツバタを大胆に描いた光琳の傑作。彼はその後に続編ともいえる「八橋図」(メトロポリタン美術館蔵)を描いています。そして、約100年後、酒井抱一がそれを原案にした「八橋図」(出光美術館蔵)を描きます。それにしても、ドイツアヤメは徹底して装飾的で、それゆえ、琳派の画家に描かせたくなるのです。