2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「みすゞコスモス」追記

金子みすゞは1903(明治36)年山口県大津郡仙崎村(現長門市仙崎)に生まれました。大正後期に童謡詩人と呼ばれ、どの作品からも優しさに貫かれた「一視同仁」の独特の宇宙が滲み出ます。みすゞは23歳で結婚し、娘を授かりますが、4年で離婚。みすゞは親権を…

ザクロの実

ザクロ(石榴、柘榴、若榴)はミソハギ科ザクロ属の落葉木で、その果実もザクロです。ザクロは中東から中国を経て日本に渡ってきました。湾岸地域の公園などにもよく植えられています。果期は秋(9~10月)。果皮は厚く、秋に熟すと、赤く硬い外皮が不規則に…

「夕焼け小焼け」再考

赤とんぼについて記した際、「夕焼け小焼け」の「小焼け」は一体何かを問題にしたのですが、似たような表現とその意味を再考してみました。 「夕焼け小焼け、仲良し小よし」、「おお寒こ寒、大波小波」など、似た表現がすぐに挙がるのですが、さすがに「朝焼…

知識がもつ三つの側面

知識は人間がつくったもので、それゆえ典型的な人工物(artifact)です。その知識を使ってつくるもの、例えば自動車も建物も人工物です。物理学の理論は人工的ですが、理論は自然についての知識で、自然は人工的ではありません。 知識は志向的(intentional…

観葉植物のインドゴムノキとマドカズラ

ベンチに腰掛け、横を見ると、観葉植物の植込みで、斑入りの葉と穴あきの葉が目に飛び込んできました。 クワ科のインドゴムノキ(Ficus elastica)は自生地では30mにもなる高木で、葉は厚く楕円形、長さ30cmもあり、光沢のある濃緑色です。我が家にも150㎝程…

マリーゴールドの花

フレンチマリーゴールド(Tagetes patula)はメキシコ原産で、キク科コウオウソウ(紅黄草)属の常緑一年草。アフリカンマリーゴールド(センジュギク、千寿菊)と共に代表的な観賞用品種の一つ。フレンチマリーゴールド、マリーゴールド、アフリカンマリー…

オキザリスとムラサキゴテンとその周辺

オキザリス・トライアングラリス(Oxalis triangularis)はブラジル原産のカタバミ科の栽培種で、葉色が濃紫色、葉形が三角形をしています。別名はムラサキノマイ(紫の舞)、インカノカタバミなどで、開花期は6月~10月。江戸時代末期に観賞用として導入され…

カンナの赤い花

カンナは、カンナ科の多年草の球根植物です。熱帯アメリカを中心とした熱帯地方を原産とするため、耐暑性が非常に高く、6月から10月前後にかけて開花し、真夏の時期が最盛期です。花の色は黄色や赤など。 カンナは熱帯地域の植物らしい色鮮やかな花を咲かせ…

A君のまとめ:点と線、あるいは刹那滅と前後際断の実数解釈

ユークリッド幾何学には多くの暗黙の前提が使われています。それらを明確にする試みがヒルベルトによってなされました(Hilbert, D.(1899)Grundlagen der Geometrie(『幾何学の基礎』寺坂英孝・大西正男訳・解説、共立出版、1970)。ヒルベルトの公理系に…

ユーフォルビアの白い花

最初の画像はトウダイグサ科のユーフォルビア・スノーブリザードの小さな白い花です。次の画像は以前のもので、園芸種の「白雪姫」。11月~1月が花期です。 ユーフォルビアの原産地は東南アジア、南アメリカ、南アフリカで、2,000以上の品種があり、植物の形…

モッコクの赤い実

10月に入り、今年もモッコクの実が赤みを帯びて、輝いている。艶のある葉と赤い実が秀逸のモッコク(木斛)はモッコク科の常緑高木。江戸五木の一つで、モチノキやマツと並び「庭木の王」と称されてきました。そのため、庭や公園によく植えられていて、湾岸…

アメリカンブルーの花

湾岸地域では秋に入ってもあちこちでヒルガオが咲き続けています。仲間のヒルガオ科アサガオガラクサ属のアサガオガラクサ(朝顔柄草)の茎は多数地表を這って伸び、匍ふくしたり、斜上したりして、長さ30~60㎝になります。国内に自生するものを探すと、沖…

赤とんぼ雑感

秋の陽光の中でアキアカネ(秋茜)の姿が目立ち出しています。トンボ科アカネ属のアキアカネは俗に「赤とんぼ」と呼ばれてきましたが、赤くなるのは成熟したオスだけで、未成熟のオスやメスは黄色っぽい色をしています。赤い色は婚姻色で、成熟したオスであ…

シオンの花:補足、あるいは「忘草(萱草)」と「不忘草(紫苑)」

既に記したように、シオンは『今昔物語』に「思い草」の名前で登場します。兄はワスレグサ(萱草)を墓の横に植え、墓参りをしなくなり、弟はシオン(紫苑)を植えて決して忘れないようにしたという物語で、ワスレグサは今のヘメロカリス、あるいはノカンゾ…

シオンの花 

シオン(紫菀、Aster tataricus)はキク科シオン属の多年草で、別名はオニノシコグサ(鬼の醜草)、ジュウゴヤソウ(十五夜草)、オモイグサ(思い草)など。中国原産で、草丈は1m以上になります。秋に花茎から散房花序を伸ばし、白か、淡い紫色の頭花をたく…

秋のチョウたち

公園の花壇の周りにはチョウやハチが元気に飛び廻っていて、相当に賑やかである。花壇は集団花畑だから、そこに昆虫たちの集団がいるのもすんなり頷ける。ウラナミシジミ、ヤマトシジミといったお馴染みの小さなチョウたち、さらにはモンキチョウ、アオスジ…

コブシ(辛夷)の集合果の異形

まず、コブシの集合果の異形の形態はプロテウス症候群を彷彿させます。1980年製作の「エレファント・マン(The Elephant Man)」の舞台は19世紀のロンドン。生まれつきの醜悪な外見のため「エレファント・マン」として見世物小屋に出ていたジョン・メリック…

「前後裁断」、「刹那滅」の実数を使ったA君の解釈

道元の「前後際断」は「刹那滅」と同じように、事象の前際(過去)と後際(未来)が断ち切ることができるという主張です。恐らく、私たちが過ごす各瞬間は独立していて、独立しているものが連続しているから、ものごとは一連の映画みたいに進行しているとい…

オオベンケイソウと生き物たち

今年もまたベンケイソウ科のオオベンケイソウの花が咲き出し、たくさんの昆虫が集まっています。和名ベンケイソウは生命力が強く、茎葉を捨ててもそこから芽を出すので、弁慶に因んで名付けられたとされます。日本へは遣唐使などによって中国から渡来したと…

刹那滅や前後裁断:A君の単純分析(改訂版)

無数の基本的要素が「縁起」によって因果関係を結び、事象(event)が構成されています。これが仏教の基本理念の「縁起」の教えです。ただし、その事象は一瞬間だけしか存在しません。瞬間的に生起し、消滅します。そして、次の瞬間に同じ構成要素によって新…

アキグミの実

湾岸地域にはアキグミが意外に多いのですが、樹の剪定のし過ぎなのか、春に花が咲いていたのに、秋になっても実が極端に少ないのが今年の特徴です。 アキグミはグミ科グミ属の落葉低木で、東アジアからヒマラヤにかけての原野に群生します。葉の裏は白い鱗片…

イチモンジセセリ

セセリチョウ科のイチモンジセセリ(一文字挵)は5~10月にかけ、3~4回発生します。北海道から沖縄までのどこにでも普通に見かけます。都会の真ん中から高原に至るまで様々な環境で見られ、湾岸地域でもあちこちにたくさん見ることができます。 幼虫はイネ…

視覚像、あるいはスマホ画像

A君はホシホウジャクがホバリングしながら蜜を吸うのを見ながら、自分のホシホウジャクの視覚像がスマホで撮った(素早く動く羽の)ブレた画像によく似ていると感じました。動く被写体をシャープに写すには、高速シャッターで撮る必要があります。なぜなら、…

オクラの花

フヨウ属(芙蓉属)はアオイ科の植物群で、北半球各地に分布し、原種は約250種で、草本から、低木、高木まで実に様々あります。例えば、フヨウ、ハイビスカス、ムクゲ、ハマボウ、モミジアオイなどは湾岸地域でも簡単に楽しむことができます。 オクラはアオ…

アメリカノウゼンカズラの花

ノウゼンカズラ(凌霄花)もアメリカノウゼンカズラもノウゼンカズラ科の蔓性植物です。アメリカノウゼンカズラとその交雑種が暑い夏だけでなく、10月に入っても花を咲かせています。 中国原産のノウゼンカズラは平安時代には既に日本に渡来していたようです…

ルリフタモジの花

イチモンジセセリ(一文字挵)の次はルリフタモジ(瑠璃二文字)で、「瑠璃(色)」となっていますが、青紫色ではなく、薄紅紫色です(画像)。 ヒガンバナ科ツルバキア属のルリフタモジは学名のツルバギア・ビオラケアでも呼ばれる栽培種です。ツルバギア属…

刹那滅や前後裁断:A君の単純分析

無数の基本的要素が「縁起」によって因果関係を結び、事象が構成されています。これが仏教の基本理念の「縁起」の教えです。ただし、その事象は一瞬間だけ存在します。瞬間的に生起し、消滅します。そして、次の瞬間に同じ構成要素によって新たな因果関係が…

ホシホウジャク

既にホウジャクやオオスカシバについて記しました。いずれも昼行性の蛾で、スズメガの仲間です。「ホウジャク(蜂雀)」は容姿が蜂に似ていることからつけられました。スズメガの成虫は三角形の翅をもち、これをすばやく羽ばたかせて、種類によっては時速50k…

サンシュユの赤い実

10月に入り、サンシュユ(山茱萸)の実が色づき始めた。サンシュユはミズキ科の落葉小高木。春に枯れ木のような枝に先ず花が咲き出すのがサンシュユ。花と実はハルコガネバナ、アキサンゴとも呼ばれ、春の黄色の花と秋の赤い実が特徴になっている(以前の画…

アコウの実と花

アコウは日本の南部沿海部に見られるイチジクの仲間。小枝を傷つけるとイチジクと同じように乳液が出てきます。アコウの木を見ると、幹や枝には緑の実がたくさんついています(画像)。木の肌に直接果実が着いているため幹生花(幹生果)と呼ばれます。 アコ…