カンナの赤い花

 カンナは、カンナ科の多年草の球根植物です。熱帯アメリカを中心とした熱帯地方を原産とするため、耐暑性が非常に高く、6月から10月前後にかけて開花し、真夏の時期が最盛期です。花の色は黄色や赤など。

 カンナは熱帯地域の植物らしい色鮮やかな花を咲かせます。花の形状はショウブやアヤメに似ています。「カンナ」の花にはインドの釈迦伝説にまつわるエピソードがあります。ある時、一人の弟子が釈迦を殺そうと企み、山道を歩いている釈迦の上に大岩を突き落としたのです。岩は釈迦の足元に落ち、死は免れましたが、足の指に岩の破片が当たり、血が流れました。その血は大地に流れ、やがて芽が出て、真っ赤なカンナの花になりました。そこから、カンナの赤い花は釈迦が流した血の色と言われるようになりました。

 日本には江戸前期に原種カンナが渡来し、園芸種の渡来は明治末期です。カンナは原爆投下後の広島が焦土と化し、草木が生えないと言われていたその年の秋に、美しい赤い花を咲かせ、人々を勇気づけました。

 でも、その花に見える部分は雄しべが変化したものです。花の形が何とも不思議で、一見しただけでは説明しがたい形状です。雌しべがへら状で、花粉をつける雄しべは1本だけで、花びらに見えるのは他の5本の雄しべが化けたものです。その外側に舟形の花被が3枚あり、その下側に緑色の小さい萼片が3つあります。さらに、その下に子房があり、それを苞葉が覆っています(画像で確かめて下さい)。