ブラシノキの花たち

 ブラシノキ(ブラシの木)はフトモモ科ブラシノキ属の常緑小高木で、別名はカリステモン、ハナマキ(花槙)、キンポウジュ(金宝樹)。オーストラリアが原産のブラシノキは人気が高く、湾岸地域の公園や庭では少し前から開花し、人々の目を楽しませている。赤い花はブラシのように見え、その花の先から枝が伸びるという珍しい特徴がある。

 ブラシノキの花期は5~6月と9~10月。色んなハチが赤い雄しべの束に潜り込んで、付け根の蜜を吸う。花弁が目立たないのは5個の花弁と5個の萼片が開花後すぐに落ちてしまい、花が咲いている時にはなくなっているため。

 雌しべは1本で雄しべより長く、雄しべの先の葯が金粉のついたかのように輝くのが「金宝樹」の由来。また、「カリステモン」はギリシャ語の「美しい雄しべ」という意味。とにかく、ブラシの形は人間だけでなく、昆虫や鳥を惹きつけるのに十分成功している。

 オーストラリアの乾燥地が原産のため、ブラシノキは極端な乾燥や山火事のときに実が開き、中の細かい種子が風に飛んで散布される。山火事で焼き払われた土地にすばやく芽を出し、土地を独占しようというのがこの木の適応戦略。これはユーカリも同じで、夢の島にはそのユーカリブラシノキが多い。山火事が起きそうにもない湾岸地域の夢の島での彼らの戦略は果たしてどのようなものになるのだろうか。