以前に「墓地のアヤメ(Cemetery Iris)」として記したのがポルトガルの野の花であるイリス・アルビカンス(Iris albicans)でした(iris はギリシア神話の虹の女神)。イリス・アルビカンスはサウジアラビア、イエメン原産とされる古い栽培植物で、イスラム圏で墓地に植えられていたために、イスラム教徒の移動や移住によって欧米各国に持ち込まれました。今回、調べ直してみると「墓地のアヤメ」ではなく、「ニオイイリス」でした。
この墓地のアヤメにそっくりなのがイリス・フロレンティナ(Iris Florentina)で、「ニオイイリス」とも呼ばれます。その違いは、アルビカンスの方がやや葉の幅が広い、ニオイイリスの方がやや背が高い、花はニオイイリスの方が若干細めと言われますが、私には個体差の違いとしか見えず、植物そのものの違いが実感できません。開花期が違うということは確かにあるのですが、一週間ほどの違いは今の気候変動では役に立ちません。ニオイイリスもアルビカンスも純粋な原種ではなく、交配種であるようだが、その祖先ははっきりせず、ジャーマンアイリスの系統についてはっきりしない。
園芸上は「シロバナイリス」、「オリス」と呼ばれるジャーマンアイリスの変種が画像のイリス・フロレンティナで、その根茎を乾燥させたものには強い香りがあり、スミレの香気に似た香料を作ります。花にも香りがあり、昔の石鹸、水と洗剤の中間のような香りがあります。先程のカラタネオガタマの花のようなはっきりした、強い香りではなく、花に鼻を近づけないとわからない程度の香りです。
あっという間にサクラの花が散り、初夏のアヤメやショウブが登場し、季節は移ったようです。


