都営団地に残るミカンの木

 都営団地にはミカンの木が多く、どれも大きな木である。古き共同体の記憶のような存在で、色づいた実がたわわについたままである。昭和の団地は都会の生活の象徴だったが、その中に植えられた果樹、そして花壇は、農村的で、家族的な風情を持ち込む役割を持っていた。みかんは日本の冬の風物詩であり、炬燵とともに家族団らんに不可欠な果物だった。古い都営団地に残るミカンの木のみかんは私が子供の頃に食べた温州みかんより大きく、堅いミカンが多い。

 団塊世代の私にとってはみかんが冬には不可欠の果物で、林檎よりみかんを食べる機会が遥かに多かった。雪の中ですっかり凍えた手足を炬燵に入れ、みかんを食べることが冬の私の楽しい習慣になっていた。