冬の夏みかん

 ビタミンCが豊富で、「冬みかん」の温州みかんの4~5倍もあり、夏の果物と思われているのが「夏みかん」。正式の名前は夏橙(なつだいだい)。秋になる果実は、酸味が強く生食には不向きと考えられ、そのままにしておいたところ、初夏に食べ頃に。それが「夏みかん」と呼ばれるようになった理由。美味しい夏みかんは冬に収穫される。

 収穫したばかりの夏みかんは酸度が高いため、貯蔵庫で保管される。冬に収穫された夏みかんは、自分の身を守る生存本能によって果実に含まれるクエン酸を消費する。夏みかんを貯蔵することで、初夏には減酸により酸度が低下する。その程よい酸味が夏みかんの甘さを引き立ててくれる。

 近くの団地には夏みかんの木が多い。そして、多くの木にみかんの実がたくさんついている。冬の青空とみかんの橙色が見事なコントラストを生み出し、食べるより見ることにもっぱら惹かれている自分がいる。

*団地では夏ミカン以外にも多様な柑橘類が実をつけている。