ガマズミの実

 かつてはどこにもあった落葉低木で、湾岸地域では庭木や公園樹として植栽されています。ガマズミの漢字表記は「莢蒾(きょうめい)」で、中国や朝鮮半島にも自生しています。名前の由来は諸説あり、鎌の柄に用いられたことから「ガマ(鎌)」、酸っぱい実をつけるので「ズミ(酸実)」という説があります。名前の由来や別名が非常に多いことは、ガマズミが生活に密着していた樹木であることを示しています。残念ながら、私の記憶の中にはガマズミはなく、少々悔しい気持ちです。

 ガマズミは初夏(5~6月)に花をつけ、その後にできる実は9~10月に赤く熟します(画像)。実はクエン酸が豊富で酸味が強く、レモン果汁に似ています。実は最初は酸味が強いのですが、晩秋になれば甘味が増し、生で食べることができます。色合いが良く、大根などの漬物を赤く染める着色料や、果実酒としても使われます。

*画像の赤い実を食べると、確かに酸っぱいのですが、味は決して悪くありません。