ふきのとうは「蕗の薹」と書きますが、薹(とう)はアブラナ科などの花をつける茎(花茎)のことで、若い盛りを過ぎ、薹が伸び、硬くなることを「薹が立つ」と言ってきました。ですから、ふきのとうを食べるのは薹が立つ前です。フキは冬になると地上部分は枯れ、早春に地下茎から花芽を出します。
フキ(蕗、苳、款冬、菜蕗)は、キク科フキ属の多年草で、早春の花茎がふきのとうで、子供の頃は雪解けの目印のようなものでした。山野に生える春の山菜で、当然その味は子供の私には受け入れがたく、なぜ大人が好むのかわかりませんでした。それでも、3月の残雪に茹でたふきのとうを晒し、アクをとったことが懐かしく思い出されます。
フキとふきのとうとは一見別の植物にも見えますが、ふきのとうはフキの花のことです。この花が咲いた後には地下茎から伸びる葉(フキ)が出てきます。つまり、フキは花と葉柄が別々の時期に地下から顔を出す植物なのです。
*フキの花茎は数枚の大きな鱗のような葉で包まれ、特有の香気とほろ苦い風味が喜ばれ、花がほうけたものは蕗の姑(しゅとめ)とも呼ばれます。「ほうける(呆ける、惚ける」は私のような老人を形容するにピッタリな動詞ですが、茎が伸び、花の咲き切ったものが「蕗の姑(蕗の薹の別名)」です。「薹が立つ」も「盛りが過ぎる、食べる時期を過ぎる」ことですから、よく似た表現なのです。
雪国の春こそきつれ蕗の薹(高浜虚子)
蕗の薹あく抜くための春の雪
残雪にふきのとう埋め灰汁を抜く


