我が憧れのミンミンゼミ

 私が夏休みに捕虫網を持って追いかけたセミはミンミンゼミ。小さな頭部と太くて短い腹部を持ち、翅が大きく、全体としてはアブラゼミとほぼ同じ大きさ。体色は胸部と腹部の境界付近が白く、黒地の地に水色や緑色の斑紋があり、見事な色合いの体色をもっていて、それが子供の私を惹きつけていた。

 ミンミンゼミはアブラゼミニイニイゼミなどとは異なり、森林性なのだが、街中でも数多く生息し、湾岸地域でも元気な鳴き声を聞くことができる。その鳴き声はセミ捕りには不可欠であり、鳴き声がうるさくてイラつくことなど子供の頃はまるでなかった。アブラゼミは多すぎて、私の関心の対象ではなく、昼間が活動時間の子供の関心はもっぱらミンミンゼミに集まっていた。

 今の私にはミンミンゼミの鳴き声は子供時代を想うきっかけのようなものになっている。ミンミンゼミの鳴き声は子供時代の想起スイッチの一つになっているのだ。