ネジバナの花

 らせん状に花が咲くので「ネジバナ」とは何とも直接的な命名だが、ラン科の小型の多年草、別名がモジズリ(綟摺)で、興味深い特徴をもっている。花序がらせん的で、右巻きと左巻きの両方があり、中には花序がねじれない個体や、途中でねじれ方が変わる個体もある。らせんが右巻きと左巻きの比率は大体1対1である。開花時期は6月下旬からだが、既に湾岸地域では咲いている。画像のネジバナはどちら巻きか確かめてほしい。

 小さなピンク色の花が10個以上らせん状について咲いていて、それを見れば、誰もが「なぜねじれるのか」と問いたくなる。花がみな一方向に向けば、茎が傾くので、花の方で工夫して万遍なく花をつけたという説があるが、真偽のほどはわからない。画像のメドーセージの(一方に傾いた)花のつき方を見ると頷けないこともない。

 巨視的に見れば宇宙の構造もらせん(渦巻き)である。自転しながら公転する地球も広義のらせんを描き、太陽系自体が銀河系の中を回転し、元の位置からずれていき、らせんが入れ子になっている。DNAは、右巻き二重らせん。このDNAの基本的構造はB型DNAと呼ばれ、今では小学校の教科書にも書いてある。さらに、二重螺旋構造のDNA自身も高次のらせん構造を繰り返し、染色体をつくっている。ここにもらせん状になった入れ子構造が見られ、生命から宇宙まで、自然のありとあらゆる場面にらせんが登場している。

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