キクモモの赤い花

 桃は実も花も味わうのが欲張りな人の常で、紅白の八重咲で人目を奪うのが「源平枝垂れ」。太い幹や枝に突然変異が生じると、枝ごと、幹ごとに赤と白の咲き分けが生じ、また、枝の先端や花の中で突然変異が生じると、花ごとに赤と白になったり、赤と白の斑入りの花になったりで、一本の木に白と紅の二色が混じり合って花を咲かせる。

 また、中国原産の花桃を品種改良した立性の品種がテルテモモ(照手桃)。テルテモモは横へは広がらず、 コンパクトにまた箒状に縦にまとまった樹形をしていて、その樹形からホウキモモ(箒桃)とも呼ばれる。花の色は白、赤、そして桃色で、八重咲。

 さて、もう一つの花桃の例がキクモモ(菊桃)。キクモモはバラ科サクラ属の落葉小高木。名前は花弁が細長くキクに似ていることに由来。別名は「ゲンジグルマ(源氏車)」。濃い紅色の八重咲き。 ウメ、モモ、サクラが咲いて、春を感じる中でキクモモも満開である。花期は3月下旬から1か月ほど。

 ところで、モモの原産地は黄河上流の高原地帯。日本に渡来したのは、弥生時代かそれ以前で、サクラの原産地はネパール、ウメは四川省、湖北省。三つとも「バラ目・バラ科・サクラ属」で、花びらの先端が梅=丸、桜=先割れ、桃=尖っているという違いがある。中国で花といえば桃であり、桃の花が愛されてきた。だから、中国の不老長寿の理想郷は桃源郷。