キクモモの花

 キクモモ(菊桃)はバラ科サクラ属の落葉小高木。キクモモはキクではなく、モモで、ハナモモの一品種です。その名前は花弁が細長くキクに似ていることに由来します。別名はゲンジグルマ(源氏車)。濃い紅色の八重咲きで、花期は3月下旬から1か月ほど。ハナモモの品種である「照手桃」、「源平枝垂れ」などを既に紹介しました。キクモモはそのハナモモの仲間で、観賞用として育てられています。ハナモモは江戸時代から花の鑑賞が目的で、盛んに品種改良が行われてきた園芸品種です。

 モモの原産地は黄河上流の高原地帯。日本に渡来したのは、弥生時代かそれ以前。サクラの原産地はネパール、ウメは四川省湖北省です。三つとも「バラ目・バラ科・サクラ属」の植物で、花びらの先端が「梅=丸、桜=先割れ、桃=尖っている」という違いがあります。梅は『万葉集』で119首の歌に詠まれていて、これは142首の萩に次ぐ多さです。中国で花といえば桃であり、桃の花がとても愛されてきました。中国の桃は不老不死の力をもつ仙木・仙果であり、不老長寿の理想郷=桃源郷の語源です。

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