イヌマキの実

 イヌマキは房総半島以西の本州、四国、九州及び沖縄に自生するマキ科の常緑針葉樹。マキには色々な種類があるが、イヌマキが最もポピュラーで、単にマキと言えば、イヌマキを指す。古くから垣根や玉散らしとして、主に和風庭園で利用されてきた。

  イヌマキという名の由来は諸説あるが、上品なイメージを持つコウヤマキをホンマキと呼ぶのに対して、葉や姿形が劣るためイヌマキと呼ぶようになったというのは、イヌワシの由来に似ている。マキ(真木)はスギ、ヒノキなどの総称で、材木としては劣るためにイヌマキと呼んだとも言われる。コウヤマキより成長が早くて安価なため、流通量は圧倒的に多い。 

  雌雄異株で、5-6月ごろに雌雄それぞれの花が咲く。雄花は多数の雄しべが集合した円柱状で数個が集まって咲き、雌花は単独で咲く。雄花を指で弾くとおびただしい数の花粉が飛ぶ。雌の木にできる実は団子状だが、白い粉をふいた緑色の部分が本来の果実(種子)。花托は赤く熟せば甘味があり食用できるが、対になってできる緑の種子には毒(イヌマキラクトン)があり、食べると嘔吐や下痢を引き起こす(画像は実も花托もまだ緑色)。

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