似ている、似ていない(1)

 「似て非なる」、「似ている」、「違う」、そして、「同じ」といった表現を植物を例にして考えてみたいのだが、そんな小難しい話は後に譲り、まずはワルナスビとイヌホオズキ。どちらもナス科ナス属なのでナスの花や実に似ていて、私など子供の頃よく見た畑のナスを思い出してしまう。実際、イヌホオズキの別名はバカナス。どちらも今花をつけている。花のサイズはワルナスビの方が3倍ほど大きいので、見比べるなら違うし、茎に棘があるかどうかでも見分けはつく。ワルナスビの棘はナスよりずっと多く、しかも痛い。二つは一見似ているが、よく見れば見分けがつく。ヨウシュヤマゴボウとエビヅルもまたそのような例である(画像)。園芸種ならスノードロップスノーフレークが同じような例になるだろう。

 ナス科ナス属の植物なら、ナス、トマト、ジャガイモなど。イヌホオズキの実は未熟な緑色のときも、熟して黒くなっても光沢がない(画像)。ワルナスビが日本で初めて発見されたのは、今から100年ほど前のこと。牧野富太郎が成田の御用牧場で発見したのが一番古い記録とされている。帰化植物のワルナスビの原産地は北アメリカで、ワルナスビの英語名は「horsenettle」、直訳すると「うまいらくさ」で、棘が多いことがわかる。一方、史前帰化植物イヌホオズキもよく似た可憐な花をつけるが、ワルナスビ同様、全草に毒がある。

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ワルナスビ

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ワルナスビ

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イヌホオズキ

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イヌホオズキの実

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ヨウシュヤマゴボウ

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エビヅル