忘れ去られた「忠臣蔵」

 12月14日は、47人の赤穂浪士たちが藩主の浅野内匠頭の仇を取り、幕府に抗議するために、大石内蔵助をリーダーにして吉良邸に討ち入りをした日です。「忠臣蔵」という名で現代まで語り継がれているこの事件は、戦後も何度となく映画や歌舞伎の演目、テレビのドラマやドキュメンタリーとして取り上げられてきました。1964年の大河ドラマ赤穂浪士」の「おのおの方、討ち入りでござる」という長谷川一夫が演じた大石内蔵助の名セリフは今でも高校生だった私の記憶の中に残響のように生き残っています(原作は大佛次郎の『赤穂浪士』)。

 昨日はその12月14日でしたが、テレビ番組の中に忠臣蔵赤穂浪士に関わるものを見つけることができませんでした。かつては泉岳寺もよく話題になっていたのですが…「忠臣蔵」が近年ドラマやニュースで取り上げられないのは、時代劇制作そのものが衰退したからなのですが、衰退の理由として制作費の高騰、若い世代の認知度低下等を挙げることができます。「忠臣蔵」の衰退はとても興味深いテーマですが、民放は制作せず、NHK大河ドラマでも1999年『元禄繚乱』以降、忠臣蔵題材は途絶えています。若者は忠臣蔵を知らず、かつては勧善懲悪の単純構図が受け入れられやすかったのですが、繰り返し映像化され過ぎ、マンネリ化して、すっかり飽きられたのも確かです。昭和を懐古する番組で「懐かしの題材」として登場するしかないのかも知れません。歌舞伎、浄瑠璃等々の古典芸能の中での「忠臣蔵」と昭和以降の芸能の中での位置や役割を考え直す時期になっているのかも知れません。でも、古典芸能としての「忠臣蔵」は私の少年期の記憶の中の「忠臣蔵」と違うのも確かなのです。