春めいた陽気になり、今年もツバキが咲き始めました。ツバキはCamellia japonicaの原種ヤブツバキが頭に浮かんできて、濃紅~紅色~淡紅色の花をイメージしてしまいます。でも、白いツバキがないかというと、決してそんなことはなく、白玉、白獅子、初雁、臘月などの品種があり、多様な色合いを持っています。
動物も植物も食料、家畜として人間に役立ってきましたが、動物のペットに対応するのが植物では園芸植物。園芸植物としてのツバキは人気が高く、多くの愛好家が様々なツバキを倦むことなく作出してきました。日本の野生のツバキはヤブツバキとユキツバキが代表ですが、ツバキが注目され出したのは室町時代の工芸品、秀吉時代の茶の湯など以降のことで、将軍秀忠がツバキをとても好み、江戸城内に諸国からツバキの名花を献上させ、ツバキ栽培のきっかけをつくりました。
これから暫く今年のツバキの花を追ってみます。今日はその最初で、咲き出したばかりの花たちです。ツバキは咲き出しより、咲き終わりに特徴があり、潔い桜が散るのに対し、ツバキは落ちるのです。それを少々細かく見れば、次のようになるのでしょう。
桜散り 梅はこぼれて 椿落つ 牡丹くずれて 時が過ぎ行く
人は逝き 植物枯れて 獣死ぬ 物は壊れて 万物変わる