近くにある区の家庭菜園を通ると、まだ野菜など育っていない菜園に1mほどの細い枝に白い雪のようなものがついている。何かと訝りながら近づくと何とワタではないか。ワタはアオイ科の植物。既に、昨秋からワタの花について記し、アオイ科の花が互いによく似ていると述べた。
ワタはハイビスカスのように熱帯、亜熱帯地域が原産。綿は植物のワタから採取される繊維だが、綿の繊維は平たく、天然の撚り(より)があり、紡いで糸にすると、繊維同士がしっかりと絡み合う。繊維の内部は空洞になっていて、それが綿の軽さと高い保温性、吸水性を生み出している。
綿毛はタンポポやセイタカアワダチソウなどの花の後に見ることができる。ワタの綿花を摘むと、フワフワした中に種子がある。綿毛は種子の皮の細胞が変化したもので、「綿花」と呼ばれた。そんな月並みの知識など横に置き、ワタを見れば、雪国育ちの私には綿雪が積もったような姿に見える。一瞬だが、大雪らしい故郷の雪景色が浮かんできた。