クリのイガ

 クリ(栗、Castanea crenata)はブナ科クリ属の落葉高木。子供の頃は家の庭にも山にもクリが多く、カキ(柿)と並んで秋の標準的な食べ物だった。山野に自生するものはシバグリ(柴栗)、ヤマグリ(山栗)と呼ばれ、家の庭のクリ(多分ニホングリ)はヤマグリに比べて果実が大粒だった。

 クリは栗ご飯や甘露煮など、秋の味覚に欠かせないが、既に縄文時代から食べられていた歴史の古いナッツ。私の子供の頃は、樹から落としたイガからクリの実を出し、皮を向いて、渋をとり、そのまま食べるというのが子供の普通の食べ方で、柿の木からカキをもぎ、そのまま食べるのと同じだった。

 クリのイガ(毬)は私がクリを食べるのを妨害するものだったが、イガは苞葉と呼ばれる葉の一部といわれている。苞葉は蕾を包むように変化した葉のことで、花の場合だと「がく」の下にあるのが見られる。栗の場合はドングリと違って、苞葉に長いトゲ(刺毛)があり、果実全体を覆ってしまっている。次世代の種子が動物に食べられないように、棘のような形状になったと言われている。