赤い実:ヤマボウシ (山法師)

 湾岸地域にはハナミズキヤマボウシがとても多い。共にミズキ科ヤマボウシ属の落葉高木で、よく似た花をつけるが、花期はハナミズキの方が1か月ほど早い。ヤマボウシは日本原産で、「山法師」という名はその特徴のある花を「山伏」の頭巾に見立てたもの。一方、「ハナミズキ」は北アメリカ原産で、1912年にアメリカに贈ったソメイヨシノの返礼として日本に贈られた。

 両種はよく似た大きな花序をもっている。4枚の大きな花びらのように見えるのは総苞片で、その中心に本来の「花」が集まっている。ハナミズキの花はまだ新葉が出る前から咲き始める。ヤマボウシハナミズキよりも遅く、葉が出た後に上向きに花がつく(画像)。

 さて、果実にも大きな違いがある。ハナミズキの果実は「単果型」、ヤマボウシの果実は「複合果型」で、食べることができる。二つの違いは画像で確認してほしい。果実は種子を、つまり、子孫を残すためのしくみ。果実のタイプの違いは植物の「生き残り戦略」の違いを表している。ヤマボウシ属の植物はハナミズキのように単果型だった。種子散布の戦略を「鳥」に託し、鳥に食べられることによって種子を散布していたのだ。だが、東アジアではサルに食べられる方がより有利に進化でき、そのため複合果に変わったらしい。

ヤマボウシ

ハナミズキ

ハナミズキ

ヤマボウシ

ヤマボウシ