「てんぐのはうちわ」がヤツデ(八つ手)の別名。ヤツデはウコギ科ヤツデ属の常緑低木。葉が大型で独特の形をしているのでよく目立つ。20cm以上もある大きな葉をつける。葉にはつやがあり、やや厚手。形は八つ手のようだが、7つまたは9つ(奇数)に裂けており、8つに裂けることは稀。
花は晩秋に咲き、球状の散形花序がさらに集まって大きな円錐形の花序をつくる(画像)。花びらは小さいが、黄白色でよく目立つ。また、春の花のような芳香がある。雌雄同株だが花には雄性の花と雌性の花とがあり、雄性の花は、よく見ると短かい花柱が合体している。雌性の花の方がより多い。
とても丈夫で庭木としてもよく植えられる。葉を乾燥させたものは「八角金盤」と呼ばれ、去痰などの薬として用いられる。昔は蛆用の殺虫剤として用いていたこともある。そのためか、私の記憶の中では、天狗ではなく便所とヤツデとが一緒になっている。