2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

サンシュユの世界

サンシュユが花盛りで、遠目には木全体が黄色に染まっているように見える。その姿はミモザの花に似たようでありながら、近づくと幹や枝と黄色の小さな花の配置の案配がすこぶる和風で、集合した花だけがもっぱら目立つミモザとは随分と違っている。サンシュ…

マグノリアとしてのハクモクレン

最近は格好よくマグノリアと呼ばれることが増えたハクモクレンは、花が新葉の出る少し前に卵が立ち並ぶように上向きに咲き始め、横に広がるコブシ(辛夷)と違って花弁が開き切りません。全開しない花とは不思議に見えますが、咲かない花とは違ってそれ程珍…

モクレンの蕾、ネコヤナギの花穂

小中学生への漢字読み方問題の好例が「蕾」と「花穂」で、答えは「つぼみ」と「かすい」。花穂は意味も厄介である。こんな小言幸兵衛風の話はさておき、いずれも春の訪れを表していて、一句捻り出したくなる。 木蓮の蕾ほころび春来る 猫柳残雪に咲く花穂か…

Deus ex machina

このところ「神の奇跡」について何度か書いたが、そんな時に歩いている私を追い越した若者の背中の「Deus ex machina」の文字が飛び込んできたのだ。着ている若者の自己主張の文言ではないとわかったが、それが若者に人気のブランド名だなどとはまるで知らな…

カンザクラの花

近くにカンザクラ(寒桜)があり、その木が満開である。青空と桜の花は相性が良い。カンザクラはカンヒザクラ(寒緋桜)とヤマザクラ(山桜)、またはオオシマザクラ(大島桜)との交雑種と考えられ、江戸後期より関東地方以南の温暖な気候の場所に分布して…

クリスマスローズ

クリスマスローズは無茎種(茎がなく、根茎から葉柄と花柄が別々に伸びる)のヘレボルスで、無茎種の原種を交雑させてできた園芸種です。人気があるようで、今年はあちこちで花を見ることができました(有茎種のヘレボルス・フェチダスは既に今年の2月29日に…

ネコヤナギの春

子供の頃の雪解けは春休み期間と重なっていて、3月の中、下旬だった。川辺から雪解けが進み、地肌が次第に見えてくるのだが、その川辺に多かったのがネコヤナギ(猫柳)。ヤナギ科のネコヤナギは落葉低木で、早春の川辺でネコヤナギの花穂(かすい、外見が穂…

リナリアの花たち

可愛い名前のヒメキンギョソウ(姫金魚草)の園芸種は最近リナリア(Linaria)と呼ばれる場合がほとんどですが、そのリナリアが花壇で花をつけています(画像)。画像はリナリア・マロッカナ(Linaria maroccana)で、日本へは明治時代末期に渡来し、近年では一…

モデル生物

昨日モデル生物について記し、代表例は動物ではショウジョウバエ、大腸菌、植物ではシロイヌナズナを挙げました。モデル生物は生物学、特に分子生物学で生命現象の研究で使われる生物種です。シロイヌナズナは2000年に植物としては初めて全ゲノム解読が完了…

聖書の奇跡:奇跡に満ちた聖書

神話は私たちの遺産であり、奇跡の宝庫。ギリシャ神話の神々は様々な奇跡を起こし、似たような奇跡は『古事記』の世界でも珍しくありません。超自然的な奇跡が物語をつくり、民族の歴史の出発を飾ったのはいつも奇跡でした。『旧約』の奇跡はギリシャ神話や…

ハーデンベルギアの花:再訪

マメ科のハーデンベルギア(Hardenbergia violacea)はヒトツバマメ属の観賞用の園芸品種で、蔓性で、茎は2mにも伸びます。オーストラリア東部が原産です。 3月から5月ごろ、「えんどう」に似た小さな花を房状に咲かせます。花色は、青紫色や白色など(画…

ナズナで思い出すこと

春の七草の一つナズナがあちこちで花をつけ出している。ナズナで思い出されるのは「モデル生物」。モデル生物の代表例は動物ではショウジョウバエ、大腸菌。モデル生物は生物学、特に分子生物学で生命現象の研究で使われる生物種である。シロイヌナズナもそ…

実証的な奇跡?:ルルドの泉

スペインとの国境にあるピレネー山脈のフランス側の山麓に、カトリックの聖地ルルドがあります。1858年、ルルドに住む貧しい少女ベルナデッタ・スビルーが、村はずれの洞窟で聖母マリアを見たということが発端で、聖母マリアに言われて、彼女が洞窟の土を手…

3月のアヤメの花

ショウブは「菖蒲」と書かれ、アヤメとも読みます。植物のショウブはサトイモ科に属し、アヤメ科のカキツバタやハナショウブは別物です。さて、そのアヤメ科に属するディエテス・ビコロル(Dietes bicolor、英: African iris、fortnight lily、yellow wild i…

ユキヤナギの花

数年前までは3月に入るとユキヤナギ(Spiraea thunbergil、雪柳)の白い花の集団があちこちで見られたのだが、それがすっかり少なくなり、小規模な花の集団しか見られなくなった。これは湾岸地域だけのことかも知れないが、集団の美を見る機会が減ると、ユキ…

奇蹟と無奇蹟

昨日の投稿から、奇蹟がないのが古典的な物理学、奇蹟だらけなのが宗教、特にカトリック教会、という対照的な違いが明らかになりましたが、そうだとすれば、物理学とカトリック教会は世界について真っ向から対立する考えをもつことになります。よくよく考え…

ハクモクレンの開花

ハクモクレン(白木蓮)はモクレンの仲間で、白色の花をつけます。その「木蓮」という名前はハス(蓮)に似た花が咲く木という意味で、私の中では仏教と結びついていました。白い清楚な花は新葉が出る少し前に咲き始め、コブシ(辛夷)と違って花弁が開きき…

クロッカスの花:再訪

早春の花壇は寂しいが、クロッカス・トマシニアヌス(Crocus tommasinianus)は春先に一足先に花を咲かせます。花の色はライラックから濃い紫色まで様々。クロッカスはブルガリア、ハンガリー、アルバニア、旧ユーゴスラビア原産の多年草です。開花時期は晩…

シレネ・ウニフローラの名残の花

シレネ・ウニフローラ(Silene uniflora)は学名で、その別名が「ホテイ(布袋)マンテマ」。シレネは西ヨーロッパ及びバルト海沿岸、マデイラ諸島を原産とする半常緑多年草で、ナデシコ科マンテマ属の観賞用の園芸種。 シレネ・ウニフローラはヨーロッパに…

奇跡の中の奇跡:奇蹟            

古典力学の世界が明解で、驚きのない世界であるのに対し、私たちが生活する世界は驚くことが次々と起こる世界です。古典的な物理世界と違って、私たち人間の世界は驚きだらけですが、それらの中でも奇跡の中の奇跡と言えば宗教の奇蹟でしょう。宗教そのもの…

春のローズマリー・グレビレアの花たち

既に1月末に記したのですが、グレビレア・ロスマリニフォリア(Grevillea rosmarinifolia)の花が元気に咲いています。このオーストラリア原産の植物は一般にローズマリー・グレビレアとして知られています。プロテア科の顕花植物の一種で、オーストラリアの…

無限についての天狗の神通力

平安末期に天狗は憑依する怨霊だという考えが広がりました。団塊世代の私には「牛若丸と天狗」や大佛次郎の『鞍馬天狗』で親しみのある「天狗」ですが、天狗の古い一例が仏道を妨げる「天魔」でした。『源平盛衰記』の後白河法皇と住吉大神との天狗問答に「…

生き写しと空似

血縁関係がある場合、似ていることは当然だと思われ、「生き写し」、「蛙の子は蛙」などと呼ばれてきました。一方、血縁関係がない場合、「他人の猿似」という謂い回しが使われ、音が近い「空似」が次第に好まれるようになり、江戸後期から「他人の空似」が…

カジイチゴの白い花

草本、つまり草のクサイチゴに対して、カジイチゴは落葉低木です。背の低いカジイチゴは、クサイチゴと区別しにくいのですが、葉の形が違います。カジイチゴの葉にはカエデのような切れ込みがあります(画像)。また、カジイチゴの花は上を向いて咲き、画像…

なぜツバキは花のまま落ちるのか?

ツバキの花は花びら一枚一枚と雄しべが全てつながった一体構造なので、花びらや雄しべがバラバラに落ちるのではなく、花全体がそのまま落ちるのです。 花びら1枚1枚がつながっていないなら、鳥は花びらの間にくちばしを入れて蜜を吸うことができ、鳥の頭に花…

主語と個物、述語と性質

1大人と中学生に 言葉を使って考え、議論するのが人の特徴。それをヒントにアリストテレスがつくり出した三段論法中心の論理学はギリシャ語という自然言語の表現形式をフル活用してつくられています。実験を工夫する代わりに、言葉とその表現を徹底して信頼…

アセビの花

アセビ(馬酔木、梫木)はツツジ科アセビ属の常緑低木で、別名は「あしび」、「あせぼ」。アセビの花色は白色とピンク色で、スズランに似た小さな花の固まりを枝いっぱいに咲かせ、満開時は花穂が樹を覆うようになります(画像)。日本の山地に自生していま…

A君の好きな決定論=A君が操作できる決定論  

元来、決定論(determinism)は「実在するものとその変化は決定的、確定的だ」と主張するためにつくられた存在論的概念です。A君がこの決定論を好きになれないのは、それが私たちの認識とは何の関係もないからです。私たちはものや出来事が確定的で、ぼんや…

ユキツバキの乙女たち

ヤブツバキは本州の青森から太平洋側の海岸に近い地域の山地と、四国、九州の山地、日本海側秋田県男鹿半島以南の海岸に近い山地に分布し、ユキツバキは日本海側の福井県~秋田県田沢湖付近までの海抜300m~1300mの山地に自生し、二つは生態、樹形などに大き…

ボケの花

新潟市秋葉区小須戸地区では毎年3月に「日本ボケ展」が開催されています。小須戸地区は日本一のボケの産地で、日本ボケ協会の事務局も小須戸にあり、すぐ近くには「日本ボケ公園」もあります。 *今年のボケ展についてはhttps://niigata-kankou.or.jp/event/…