アセビの花

 アセビ(馬酔木、梫木)はツツジアセビ属の常緑低木で、別名は「あしび」、「あせぼ」。アセビの花色は白色とピンク色で、スズランに似た小さな花の固まりを枝いっぱいに咲かせ、満開時は花穂が樹を覆うようになります(画像)。日本の山地に自生していますが、庭園や公園にも植えられています。

 「馬酔木」の名は「馬」がその葉を食べると、その毒で酔ったようにふらつくことからつけられたとされます。日本のアセビのほか、ヒマラヤ地域から中国雲南省などに分布するヒマラヤアセビなどが庭木や鉢物として栽培され、園芸品種も数多くあります。

*『馬酔木(あしび)』は伊藤左千夫を中心とする短歌雑誌で、1903(明治36)年創刊。正岡子規亡き後、写生主義を発展するために創刊された根岸短歌会の短歌雑誌。

**『馬酔木(あしび)』は水原秋桜子が主宰した俳句雑誌。1922(大正11)年創刊の『破魔弓(はまゆみ)』を1928(昭和3)年改題。ホトトギス派の写生主義に対して、清新な叙情性を主張。

***『万葉集』第10巻 1903番歌

吾瀬子尓 吾戀良久者 奥山之 馬酔花之 今盛有(我が背子に我が恋ふらくは奥山の馬酔木の花の今盛りなり)(あの人に恋い焦がれている、その今の自分の心情は、奥山で人知れず今を盛りと咲いている馬酔木の花そのものです。)