モクレンの蕾、ネコヤナギの花穂

 小中学生への漢字読み方問題の好例が「蕾」と「花穂」で、答えは「つぼみ」と「かすい」。花穂は意味も厄介である。こんな小言幸兵衛風の話はさておき、いずれも春の訪れを表していて、一句捻り出したくなる。

木蓮の蕾ほころび春来る

猫柳残雪に咲く花穂かな

(何とも凡庸!)

 「木蓮」は花が蓮(はす)に似た木であることからつけられた。地球上で最古の花木といわれ、1億年以上も前に既に今のような姿だったらしい。モクレン被子植物の中でも古く、双子葉植物であるのに単子葉植物の特徴を幾つも持っている。

 毛におおわれた芽鱗(がりん)に包まれている冬芽(ふゆめ、とうが)は、葉を落とした枝についているカプセル状のもの。冬芽を分解すると、中には小さく折りたたまれた葉や花の蕾が入っている。モクレンやネコヤナギの冬芽はよく知られている。

 モクレンは秋の内に蕾を生長させる。冬の間はしっかりと寒さから守られた蕾が春先にほころんで咲き出す。まるで毛皮のような蕾の殻は萼のように見えるが、これも花びらと同じ由来のもので、外花被である。