ハクモクレンの冬芽

 ハクモクレン(白木蓮Magnolia denudata)の冬芽(冬を越す花芽)は柔らかい毛に覆われていて、色々な特徴を持っています。まず、頂芽は特に大きく、これが花芽です。頂芽は基部に枝から伸びた太い芽柄(がへい)を持っています。また、ハクモクレンの冬芽は互い違いにらせん状に互生していて、暖かい毛に覆われた花芽はゆっくりと大きくなり、春に見事な花を開きます。

 ハクモクレン(白木蓮)はモクレンの仲間で、白色の花をつけます。子供の時からハクモクレンモクレンと思い込んでいたのですが、「木蓮」という名前はハス(蓮)に似た花が咲く木という意味で、私の記憶の中のモクレンが何となく仏教と結びついていたことが頷けるのです。

 白い清楚な花は新葉が出る少し前に咲き始め、コブシ(辛夷)と違って花弁が開ききらず、卵が立ち並ぶように枝先につきます(全開しない花とは不思議な存在形態ですが、このような花は少なくありません)。花びらは太陽の光を受けて南側がふくらむため、花先は北側を指すことになり、そのことから、「磁石の木」と呼ばれることもあります。

 マグノリアと総称されるモクレンは地球上で最古の花木で、1億年以上も前から既に今のような形態だったようです。椿(つばき)、躑躅(つつじ)、そしてモクレンは三大花木とされています。