ユキツバキの乙女たち

 ヤブツバキは本州の青森から太平洋側の海岸に近い地域の山地と、四国、九州の山地、日本海秋田県男鹿半島以南の海岸に近い山地に分布し、ユキツバキは日本海側の福井県秋田県田沢湖付近までの海抜300m~1300mの山地に自生し、二つは生態、樹形などに大きな違いがあります。ユキツバキとヤブツバキの自然交雑による中間型のツバキがあり、この交雑種がユキバタツバキ。

 「オトメツバキ(乙女椿)」はユキツバキの園芸品種で、江戸時代から栽培されています。丈夫で太平洋側の地域でも栽培しやすく、千重(せんえ)咲き(花弁が数多く重なり、花心部に雄蕊を欠くか、あるいは見えないもの)です。花色はピンク。北陸地方によく似た品種が多いことから、江戸時代末期に作出されたとされ、『本草図譜』(1829)に載っています。

 サザンカにもオトメがあり、サザンカ「オトメ」はサザンカの園芸品種です。花色はピンクで、千重咲き、中輪、11月から開花する早咲きです。上記のオトメツバキと瓜二つの花を咲かせます。

*画像はどれもオトメツバキ