2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

美と醜の間の秋

早春のコブシの花の大きさ、花色の白さは春の喜びを見事に表現しています。でも、その後のコブシの実の形状もとても印象的で、一つとして同じ形のものはありません。花と違って実は千差万別の形の妙を見せてくれます。 画像はその実の今の姿です。その形状を…

11月のカタバミ

11月に入り、さすがに野原は静かになってきました。それでも、刈り込まれた芝生の間からカタバミ(酢漿草、片喰)の花が見えています。カタバミは地下に球根を持ち、さらにその下に大根のような根を下ろしています。葉はハート型の3枚が尖った先端を寄せ合わ…

コエビソウの花の戦略

キツネノマゴ科のコエビソウは英語ではメキシカン・シュリンプ・プラント(Mexican shrimp plant)とも呼ばれるメキシコ原産の常緑の低木で、既に何度か記してきました。コエビソウは開花期間が非常に長く、15度以上の気温があれば、周年開花します。画像は少…

秋のディエテスの花

アヤメは春から夏にかけて花をつけると思い込んでいたのですが、昨日偶然に見つけたのがアフリカアイリスと思われる花で、一輪だけですが、見事に咲いていました。厄介なのは、それがディエテスグランディフロラ(Dietes grandiflora)か、アフリカアイリス…

ホソバアンゲロンソウ(アンゲロニア)の花

アンゲロンソウと和名がつけられているのですが、園芸ではアンゲロニア(Angelonia angustifolia)と呼ばれています。アンゲロンソウ(アンゲロニア)属の園芸品種の総称がアンゲロニアで、別名はエンジェルラベンダーです。 アンゲロニアはメキシコ原産です…

ユキハナソウの白い花

トウダイグサ科のユキハナソウ(雪華草)は学名からユーフォルビアとも呼ばれ、英語名はダイアモンド・フロスト(Diamond frost)です。和名は花が雪のように白いことから命名されました。 ユキハナソウの花期は4~11月と長く、苞が花びらのようになった小さ…

固有種と外来種の区別から諸行無常へ:A君の意見

妙高山麓は山菜宝庫。その時期が来れば、SNSは山菜の記事に溢れ、山里の恵みが次々と届けられる。外国産の野菜や果物が溢れる中で、流石に山菜は日本固有の植物だと信じられてきた。山菜は自ら山菜採りを楽しみ、食すだけなく、立派な商品として売られていて…

秋のダリアの花

キク科のダリア(Dahlia pinnata)の別名はテンジクボタン(天竺牡丹)。日本におけるダリアの栽培の歴史は長く、1841年の『百花培養集』にダリアについての最初の記載があります。 ダリアはメキシコ国花で、日本では昭和に入り、家庭の庭先を飾る夏の花とし…

ヒサカキの実

ヒサカキは常緑の小高木で、雌雄同株。神道で聖なる木とされるサカキ(榊)はホンサカキ(本榊)とも呼ばれ、西日本を中心に自生し、関東では育ちにくかった。そのためサカキの代用として使われてきたのがヒサカキです。 ヒサカキにははっきりした鋸歯があり…

シャリンバイ(車輪梅)の実

湾岸地域では排気ガスに強く、刈り込みにも耐えるバラ科のマルバシャリンバイとシャリンバイが公園や歩道にたくさん植えられ、地域の風景の主要要素になっている。ウメに似た花の開花は4月に始まり、今は緑の実が随分と紫に変わり始めている。葉が枝先に車輪…

ホトトギスとホウジャク

タイトルは「タイワンホトトギスとホシホウジャク」という方が正確なのでしょうが、想像力をかき立てるにはこのタイトルの方が謎めいています。 「不如帰」とホウジャクは解せない、というのが子規ファンの当然の反応。さらに、多くの人は信長、秀吉、家康の…

十三仏(じゅうさんぶつ)

深田久弥は『日本百名山』で、戸隠、飯縄、黒姫連山の中で、高妻、乙妻は品格があるにも拘わらず、登る人が少なく、昔はこの高妻、乙妻を戸隠の御裏山と称して、修験者が登拝していたと述べています。 十三仏は室町時代に日本で考えられた、冥界の審理に関わ…

マーガレットコスモスの黄色い花

マーガレットコスモスはキク科ステイロディスカス属の多年草で、南アフリカ原産。ユリオプスデージーによく似ているが、開花期が異なり、葉は緑色である。寒さと暑さに強く、丈夫である。別名は「ガモレピス」、「イエローエンジェル」。 マーガレットコスモ…

シシユズの黄色い実

夏から見てきたシシユズの実が着実に色づき、黄色の実が目立ってきました。シシユズを知ったのは5年ほど前ですが、その形とサイズにビックリしたのを今でも憶えています。画像は今の黄色になった実、そしてかつての緑の実です。子供の頃、田舎の親戚の家に大…

高妻山の修験「道」

NHK「にっぽん百名山」の「高妻山」は修験道で有名な戸隠山の中の一つ。広義の戸隠山は戸隠表山、西岳、高妻山を含む一連の岩山ですが、その中で群を抜いて高いのが高妻山です。高妻山は日本百名山に選ばれていて、長野、新潟の両県にまたがる戸隠連峰の中で…

11月のバラ:メモ

11月になると今年の秋バラの季節は終わりに近づきます。バラは開花するためにたくさんエネルギーを使用します。秋の開花も終盤を迎え、開花を終えれば、冬の休眠期に入ります。11月のバラは1日のうちで例えれば、きれいな夕焼けの時間に似ています。

ミヤマシキミの赤い実の謎

ミヤマシキミはミカン科の常緑低木で、別名はシキミア(スキミア)。実の「赤」は葉の「緑」と補色の関係にあり、画像が示すように、鮮やかな色の組み合わせになっています。今年もまたミヤマシキミの実が真っ赤に変わり、鳥にも人の目にも目立ち、常緑樹の…

オシロイバナの花

オシロイバナ(白粉花、白粧花)はメキシコ原産で、江戸時代始めに渡来。美しい花のため観賞用に栽培されますが、今では広く野生化しています。開花時期は6月末から10月末頃で、今年もそろそろ終わりです。寺の鐘のような形のタネをつぶすと、白粉(おしろい…

マルバフジバカマの白い花

キク科のマルバフジバカマ(丸葉藤袴)は10月に真っ白な花をつけます。それが白花のフジバカマに似ています。フジバカマは古い時代に中国から渡来しましたが、マルバフジバカマは北アメリカ東部が原産の帰化植物です。ところが、明治時代に箱根で発見されま…

感性の力:北斎の表現への欲望、あるいは煩悩

先日孫が葛飾北斎の浮世絵を見たいと言い、太田記念美術館ではなく、すみだ北斎美術館に一緒に行ったのだが、ほぼすべてがコピーで、がっかりした。それで、以前に北斎について記したのを思い出した。 「意志」や「意欲」は学校で使っても文句など一切出ない…

ネリネの花

ネリネ・サルニエンシス(Nerine sarniensis)は1800年代にダイヤモンドの採掘のために南アフリカに入植したヨーロッパ人がイギリスに持ち帰り、品種改良が始まったとされています。冬にヒガンバナに似た花を咲かせます。ヒガンバナに似ているため、日本では…

セイタカアワダチソウの中のキクイモ

セイタカアワダチソウの花は秋の黄色の代表格だが、キクイモ(菊芋)の黄色の花もそれに劣らず印象的である。キクイモはキク科ヒマワリ属の多年草。そのためか、キクイモの花はヒマワリの花によく似ている。別名はアメリカイモ、ブタイモ、サンチョークなど…

秋のハマナスの花と実

バラ属の植物は落葉低木で、雌雄同株。サンショウバラ(山椒薔薇)やハマナス(浜茄子)など日本の自生のバラを含め、一般的には春と秋の二度咲きする。古来より日本に自生するバラの原種の一つがハマナス(浜茄子、浜梨)。そのハマナスは西洋に渡り、私た…

デュランタの実

デュランタはクマツヅラ科デュランタ属の植物で、和名はハリマツリ、タイワンレンギョウ。花色が濃い青紫で、白い縁取りが入るものは「タカラヅカ」と呼ばれる品種。画像の花を嫌う人はまずいないだろう。 秋の実は薄いオレンジ色の変わった形をしている(画…

ツチイナゴとの遭遇

10月28日にトノサマバッタについて記したばかりだが、今日はツチイナゴに遭遇した。私にとっては実に有り難い偶然が重なって、かつて「奇跡のような時間:団塊世代の私が田舎で経験した自然」と題した拙文を思い出したのだ。それを要約してみよう。 田舎生れ…

キクとバラから:菊薔薇

ベネディクトの『菊と刀』とエーコの『薔薇の名前』を混ぜ合わすなら、「菊と薔薇」とでもなるのだろうが、二つのテキストを比較できても、混ぜ合わすことなど当然できない。だが、二つの植物となると、どうだろうか。かつてはキクとバラは異なる本質をもっ…

秋のヒメリンゴの実

ヒメリンゴの別名はイヌリンゴ(犬林檎)、ミカイドウ(実海棠)。バラ科の落葉高木で、セイヨウリンゴとズミの雑種と言われているが、その起源はよくわからない。4月から6月にかけて咲く花は、最初は薄いピンク色で、満開時には白くなる。その後、すぐに小…

植物の名前:雑感

湾岸地域を中心に植物を記していると、牧野富太郎が命名した植物がしばしば登場します。彼の命名は2500種以上(新種1000、新変種1500)とされ、自らの新種発見も600種余りあります。主なものを挙げれば、ムジナモ、センダイヤザクラ、トサトラフタケ、ヨコグ…

ヒイラギモクセイ:キンモクセイとヒイラギの間で

今年のキンモクセイの花はあっという間に散ってしまいましたが、その後のヒイラギモクセイの花も既に終わりました。 ヒイラギモクセイはギンモクセイとヒイラギの雑種で、湾岸地域でもよく植栽されています。ヒイラギモクセイの葉の形と大きさはキンモクセイ…

イチゴノキの秋

画像はイチゴのような実をつけることから、イチゴノキと呼ばれています。イチゴノキはイチゴが属するバラ科ではなく、ツツジ科に属する常緑の木本植物です。イチゴノキは地中海沿岸からアイルランドに自生する常緑樹で、アセビを大きくしたような濃い緑色の…