イチゴノキの秋

 画像はイチゴのような実をつけることから、イチゴノキと呼ばれています。イチゴノキはイチゴが属するバラ科ではなく、ツツジ科に属する常緑の木本植物です。イチゴノキは地中海沿岸からアイルランドに自生する常緑樹で、アセビを大きくしたような濃い緑色の葉をもち、白い壺形の小さな花を晩秋に咲かせます。実は年を越し、翌秋に、緑色から黄、オレンジ色、赤へと変化しながら晩秋に成熟します。

 実は赤い漿果で、直径1-2cm。表面はざらつき、次の花と同時に熟成します。実が目立つ頃には翌年の実のための花が咲いていて、花と実を同時に楽しめることが大きな特徴です。

 イチゴノキは戦後に日本へ渡来し、花や実を観賞するため庭木として使われてきました。イチゴノキの矮性品種はヒメイチゴノキと呼ばれますが、木の大きさが違うだけで、二つは花も実も同じで、英語ではどちらもストロベリーツリーです。

*「トチノキ」のトは「十」、チは「千」を表わし、実がたくさんつくことからこの名がついたとされる。また、トチミツが優れた蜂蜜(ハチミツの量と質)であることから、トチノキは「蜜蜂の木」と呼ばれていた。「ミツハチノキ」がいくつかの転訛を重ね、「トチノキ」になり、それが樹名になった。トチノキに比べれば、実がイチゴに似ていて、そこから「イチゴの木」がイチゴノキになったのはわかりやすい。

**昨年の花からつくられた実と来年の実をつけるための花とが同じ木にほぼ同時に存在するというのは私にはとても不思議な気がするが、理不尽どころか、適切な適応である。