トチノキの実

 近くの公園にはトチノキの大木が何本もあり、今は大きな葉が日陰をつくってくれています。大きな実が葉の間に見え、既に何個も落下し、秋を知らせています。

 トチノキトチノキ属の落葉広葉樹ですが、同じトチノキ属のマロニエ(西洋栃ノ木)は、16世紀にヨーロッパで街路樹として植栽することが流行し、一気に広まり、パリのシャンゼリゼ通りの並木道は世界的に有名で、サルトルの『嘔吐』にも登場します。一方、日本原産のトチノキの実は古代人にとって貴重な食料であり、縄文時代の遺跡からもトチノキの実の化石が多く発見されています。子供の頃に栃餅を食べた記憶があるのですが、その味はまるで憶えておらず、餅の作り方も知りません。

 5月から6月に、葉の間に穂状の花がつきます。花は白〜薄い紅色。その実は熟すと3つに裂け、1~2個の大きな種子が出てきます。種子は艶、形ともにクリに似ていますが、色は濃く、球状で、クリより大きめです(画像)。種子は「栃の実」と呼ばれ、アク抜きには半月以上かかりますが、縄文時代から食べられてきました。