ホトトギスとホウジャク

 タイトルは「タイワンホトトギスとホシホウジャク」という方が正確なのでしょうが、想像力をかき立てるにはこのタイトルの方が謎めいています。

 「不如帰」とホウジャクは解せない、というのが子規ファンの当然の反応。さらに、多くの人は信長、秀吉、家康のホトトギスの句を思い出し、ホウジャクと何の関係があるのだと訝る筈です。鳥のホトトギスカッコウ科に分類され、甲高い声で鋭く鳴き、口の中が赤く、「鳴いて血を吐く」と言われます。故事によれば、「不如帰去(帰り去くにしかず、帰る方がよい)」と嘆きながら、血を吐くまで鳴き続けました。子規は喀血した自分を「鳴いて血を吐くホトトギス」に重ね、ホトトギスの漢字表記の一つ「子規」を俳号としました。彼が創刊した俳句雑誌名『ホトトギス』もその俳号にちなんだものです。

 蛾のホウジャクにはホシホウジャク、ヒメクロホウジャク、ホシヒメホウジャクなどの種類があり、マニヤックにならないとそれらの識別はできないと思われています。既にホシホウジャクやオオスカシバについて記しました。いずれも昼行性の蛾で、スズメガの仲間です。「ホウジャク(蜂雀)」は容姿が蜂に似ていることからつけられました。見事なホバリングに惹きつけられてしまいます。今年はホウジャクが多く発生し、ホバリングの姿だけでなく、フヨウの花に止まったホシホウジャクの姿も観ることができました。

 さて、前書きが長くなり過ぎました。本題は、タイワンホトトギスも今年よく見かけたのですが、終に昨日ホシホウジャクがタイワンホトトギスの花の蜜を吸いに来ているのに遭遇した、ということです。何とも貴重な一瞬で、自然の絶妙な一瞬を体験できました。

*最初の画像は静止したホシホウジャク、他はホバリング中のホシホウジャク