シロヤマブキの実

 シロヤマブキ(白山吹)はバラ科シロヤマブキ属の落葉低木で、庭や公園でよく見る。花期は4-5月で、径3-4cmの両性花を側枝の先端に一つずつ咲かせる。花弁は4枚で白色(以前の画像)。果実は痩果(種子が果皮に包まれ、それが一見種子に見える)で、夏に一つの花に光沢がある黒色の実を3個か4個つける。実は黒く熟す。野鳥に人気がないためか、長い間枝に残る。

 シロヤマブキとシロバナヤマブキは違うと以前述べた。シロヤマブキの葉は対性(画像)、シロバナヤマブキの葉は互生で、シロヤマブキの実は黒く、シロバナヤマブキの実は褐色である。とはいえ、黒くなるのはまだ先で今は褐色。春のシロヤマブキの白い花は印象的だが、その後の4個の実も見事に黒くなる。黄色いヤマブキは5弁の花に実を1個から5個までいろいろつけるが、八重のヤマブキは実をつけない。

*画像はシロヤマブキの花と実。シロヤマブキの実も黒くなる前は褐色である。

*「葉のつきかた」には,大きく分けて「互生(ごせい)」,「対生(たいせい)」,「輪生(りんせい)」,「コクサギ型(がた)」があり、画像からシロヤマブキが対生だとわかる。

 

 このように見てくると、つい哲学してみたくなる。情報によって知るシロバナヤマブキと観察によって知るシロヤマブキという違いが私のシロヤマブキとシロイロヤマブキの知識にある。私はシロイロヤマブキを見たことがないのである。だが、上の文章にはその二種類の知識が混合されて、「シロヤマブキの実」が私の知識として表現されている。つまり、私が直接に経験して得られた知識(その一部の証拠が画像)と(本やWebから私が)情報を仕入れて得られた知識とを私が総合したのが上記の作文という訳である。私たちが日常生活で知るもの、つまり、知識は経験的、感覚的、実証的などと形容されるが、シロヤマブキとシロイロヤマブキの例のように、私たちが直接見たものと読んだり、聞いたりしたものとがミックスされている。いずれか一方だけという知識は日常世界にはなく、二つが総合されているのが日常の知識である。そして、それは日常の知識だけでなく、あらゆる知識(知識一般)についても成り立っていると一般化したくなる。特に、「知る」が単独ではなく、常に「行為、行動する」とつながっている日常世界の場合、その一般化は当たり前に思えてくる。

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