慶應病院の検査結果(2)

 慶應義塾大学病院では新規の入院患者に全員PCR検査をして、コロナ感染症以外の治療を目的とした無症状の患者のうち5.97%の陽性者(4/67)が確認された。無症状の人の6%が陽性=現在感染中ということになる。サンプル数は少ないが、そのまま外挿すれば、東京都の人口1000万人の60万人が現在感染中ということになる。さらに、既に感染し、ウイルスが消えて抗体を持っている人がPCR陽性者の5倍いるとすると、約30%が抗体を持っていることになる。これは早期に抗体検査をする価値があることを示している。もし集団免疫が近いか、あるいはこれほど無症状が多いなら、強力な封鎖はあまり意味がなく、むしろ終息を遅らせてしまうのではないか。私たちは壮大な無駄を行なっているのかも知れない。

 僅かなデータからこんな話をするのは危険極まりないが、異なる病院5つについて500名ほどPCR検査を無作為に行うなら、より適確な話ができるのではないか。主な私大の付属病院で是非サンプル調査を行ってほしいものである。
 専門家会議やクラスター対策班には理論的なモデルを示し、パラメーターの値を決めてシミュレーションを実際に行って説明してほしい。Twitterでも(専門家には明らかなためか)モデルの説明はない。また、パラメーターの値と実測値の違いも丁寧に説明してほしい。グラフが示されるだけで、グラフを描くモデルは示されていない。日本人のほとんどがどのようなモデルをもとに立ち向かっているのか知らないというのは不思議というより、やはり異常ではないのか。

 そんな不満を言いながら、暫くすれば、抗体をもった人がいつの間にか増えていて、そのために流行が(行動変容のおかげという理由で)沈静化しているのかも知れない。そして、本当の理由はPCR検査を極度に制限したためだったということになるのかも知れない。