ツツジ科の釣鐘型の白い花

 イチゴノキはイチゴが属するバラ科ではなく、ツツジ科に属する常緑の木本植物。イチゴノキは地中海沿岸からアイルランドに自生する常緑樹で、アセビを大きくしたような濃い緑色の葉をもち、アセビの花に似た白い釣鐘型の小さな花を晩秋にたくさん咲かせる。花の後の実は年を越し、翌秋に、緑色から黄、オレンジ色、赤へと変化しながら晩秋に成熟する。だから、晩秋には1年前に生まれた実と1年後に実をつける花とが共存した姿を一本の木に見ることができる。イチゴノキは戦後に日本へ渡来し、花や実を観賞するため庭木として使われてきた。イチゴノキの矮性品種はヒメイチゴノキと呼ばれるが、木の大きさが違うだけで、二つは花も実も同じで、英語ではどちらもストロベリーツリー。

 同じツツジ科のアセビ(馬酔木、梫木)も常緑低木。日本に自生し、湾岸地域でも公園や庭でよく見かける。別名は「あしび」、「あせぼ」。開花時期は3月から4月中旬で、やはり釣鐘状の花を咲かせる(画像)。花の色は、薄紅色、あるいは白色。枝葉に「アセボチン」という有毒成分が含まれていて、馬が食べると、酔って足が萎えることから「足癈(あしじひ)」と呼ばれ、それが変化し、「アセビ」となった。

 ブルーベリー(blueberry)も春に釣鐘状の花を咲かせる。花の後、ブルーベリーの実がつく。その実のつき方はアセビの実のつき方によく似ている。ブルーベリーもツツジ科の植物で、北アメリカ原産の落葉低木果樹の総称。

 

水原秋桜子の句に「馬酔木咲く 金堂の扉に わが触れぬ」(馬酔木の花が咲き乱れる季節、寺の金堂の扉に触れてはならない)があるが、素人なりに捻りたくなるのが馬酔木で、ブルーベリーやイチゴノキとは微妙に違っている。

参道を 埋め尽くそうと 馬酔木咲く

釣鐘の 花が並ぶや 馬酔木坂

**画像はイチゴノキ(二枚)、ドウダンツツジ、ブルーベリー、アセビ

イチゴノキ

イチゴノキ

ドウダンツツジ

ブルーベリー

アセビ