シコンノボタンの花

 「シコンノボタン」と聞くと、「紫紺の牡丹」なのか「紫紺野牡丹」なのか、誰もが迷ってしまうが、正解は「紫紺野牡丹」。そんな色気のない問いより、正に「紫紺」という色がピッタリのシコンノボタンはとても魅力的な花色で、そのためか公園などでよく見かけます。紫紺の「ノボタン」はノボタン科ティボウキナ属(和名シコンノボタン属)の常緑低木で、湾岸地域のあちこちでその花を愛でることができます。

 中南米原産のシコンノボタンは紫色の大輪の花が美しく、別名の「スパイダーフラワー」は、紫色の雄しべ10本のうちの5本が長く、葯(雄しべの花粉を入れる袋)の部分がクモの節のように曲がっているため。見飽きることのない妖艶な雰囲気の花で、色と形が一緒になった見事な花は私たちに美を享楽する時間を与えてくれます。

 私は一輪のシコンノボタンの花の見事さに惚れ惚れするのですが、それが木全体に満開となると、印象が違ってきます。画像のようにうるさい程に花が多いと、一輪の妖しさは消え、集団の花姿に変わり、異なる印象が生まれます。何とも贅沢なことです。