4月から5月の新緑が終わろうとしている。猛暑の到来に対し、新緑の季節が続くことを希いたくなるのだが、俳句と画像から暫し振り返っておこう。
日野草城 新緑やうつくりかりしひとの老い
若葉と老人は共に美しいということに異を唱えたい人は少なくないだろう。「新緑にさからうようなひとの老い」などとつい詠みたくなってしまう。
山口青邨 新緑の山たたなはる国古く(たたなはる=連なっている)
新緑の山が連なる古い国の境となれば、私などは新緑の信州と越後の国境(くにざかい)を思い出してしまう。
稲畑灯子 新緑というしづけさと明るさと
若い人にとっての新緑は「新緑という明るさと躍動と」とでも表現でき、老いの我が身をしみじみ思いやってしまうかもしれない。
つい老いの身を新緑の中に対置してしまうのだが、我が老いの身など忘れ、我が身を新緑に没入して、一心に新緑を味わうことだけに集中するのが良策なのだろう。
*新緑の樹々はアケボノスギ、オオシマザクラ、ソヨゴ