子供の頃からよく見てきたのがハナトラノオ。それも夏休みの終わり頃によく見た憶えがあり、路傍に多く見られ、私には雑草に近い花だった。
シソ科のハナトラノオの別名はカクトラノオ(角虎の尾)。アメリカの中・南部からメキシコが原産で、日本へは明治時代に渡来。高さは60~120センチほどになり、8月から9月にかけ、茎の先の総状花序に淡紅色や白色の唇形花を多数穂状に咲かせる。唇形花はシソ科やゴマノハグサ科の植物に多く見られる花の形で、筒状になった花の花冠部分が上下に別れ、唇のように見える花。
ハナトラノオは園芸植物として知られているが、一度植えると放置していても地下茎でよく増え、半野生化することも多い。それが私の雑草のような記憶の理由に違いない。その名前に反して、花の色も形も慎ましく、妙に自己主張しないのが私を含めた人々に嫌われない理由なのだと思っている。