ヤブコウジの赤い実

 ヤブコウジ(藪柑子)はサクラソウヤブコウジ属の常緑小低木。「藪柑子」は「藪に生える柑子(ミカン類)」の意味で、冬に赤い果実をつけ、別名が十両(ジュウリョウ)。

 ヤブコウジは『万葉集』では山橘(ヤマタチバナ)と呼ばれ、古くから日本人に愛されてきました。江戸時代の寛政期に葉に斑が入るヤブコウジが人気となり、多くの品種が作出されました。その後、明治20年新潟県で再び流行し始め、明治27年には全国的なブームになりました。

 画像のような鮮紅色に熟すヤブコウジの実は冬の間も落ちずに残ります。同じ色の実をつける植物には同じヤブコウジ科のマンリョウやカラタチバナ、センリョウ科のセンリョウがあります。メギ科のナンテン南天、「難を転ずる」)も赤い実で有名ですが、ナンテンヤブコウジも薬用植物です。

*万両(藪橘、ヤブタチバナ)、千両(草珊瑚、クササンゴ)、百両(唐橘、カラタチバナ)、十両(藪柑子、ヤブコウジ)、一両(蟻通、アリドウシ)の実はどれも秋から冬に赤く熟し、どの実も似たように小粒です。そのため、これらの赤い実をつけた植物は正月の縁起物となってきました。

ナンテン