同じも違うも気持ち次第:イバラとバラ

 「人生は茨の道」と言われ、「薔薇色の人生」とは大違い。だが、イバラは棘のある木の総称(茨、棘、荊)で、日本の「薔薇」の原種「ノイバラ」の古称である。ノイバラ(野茨)はバラ科の落葉性のつる性低木で、別名はノバラ(野薔薇)。ノイバラの開花は5~6月。花の直径は2~3センチで、ナニワノイバラより小さいが、芳香は強く、香水にも使われる。

 画像は中国原産のナニワイバラで、近くのフェンスで花をつけている。既に半ば野生化している。ナニワイバラは日本に宝永年間に渡来し、大阪でこのノイバラが売られていたことから、「難波のバラ」という意味で「ナニワイバラ」と呼ばれるようになった。

 さて、ナニワイバラとハマナス(浜梨)の画像を見比べれば、それぞれの花はよく似ていて、花だけでは区別できそうもなく、二つがバラの仲間であることが納得できる。実際、ノイバラ、ナニワイバラ、ハマナスの交雑種がいくつもある。

 ハマナス(浜茄子、浜梨)はバラ科バラ属の落葉低木。自生する野生のバラで、ナスでもナシでもない。湾岸地域には意外に多く、あちこちに植えられている。開花時期は6月中旬までで、夏には実が目につく。ハマナスは英語で「Ramanas Rose(ラマナス・ローズ)」と呼ばれ、日本語の「ハマナス」が元になったようである。ハマナスの名前が広く知られるようになったのは、1960年に森繁久彌が作詞作曲した「知床旅情」で、私もこの歌詞でハマナスの存在を知った。

*ピエール・ド・ロンサールはバラの園芸品種で、フランス・ルネサンス期の詩人ピエール・ド・ロンサールに因んで命名された。

ノイバラ

ナニワイバラ

ハマナス

ピエール・ド・ロンサール